先日、日本工業大学駒場高校の保護者の皆様向け講演会『子どものやる気を引き出す魔法の質問』に登壇しました。
今だからこそ、人前で話すことは苦になりませんが、元々、私は超がつくほどあがり症で、大勢の前で話すと頭が真っ白になるタイプでした。
担当の先生から、予定参加者は164名と伺っていましたが、準備したワークシートが足りなくなったとのことで、増えていたかもしれません。今ではこういう状況でも、笑いをとれるほどになり、我ながら成長を感じます。
講演会と言っても私がひとりお話しをするわけではなく、質問をして、その答えをワークシートに書いていただき、隣近所の方と伝え合うというワークショップ形式で行います。
私は小中学校や高校で、この『子どものやる気を引き出す魔法の質問』という講座をしています。そして、この講座を始めたきっかけは、私自身の子育て経験からでした。
私にはふたりの娘がいます。
幼少期のお姉ちゃんは好奇心が旺盛でなんでもすぐに覚え、おしゃべりがとまらないタイプでした。妹は言葉が遅いながらも、おもしろいことが大好きで無鉄砲なタイプ。それなのに、外では人見知りが激しく、自信がないように見えました。
幼稚園の年少さんのとき、家庭訪問にいらした先生から「様子はいかがですか?」と尋ねられ、「○○はできませんし、△△もできません。」と、子供のできていないことばかりを伝え、困っているかのように話しました。
正直なところ、私としては「できていないこと」を悩んでいるわけではありませんでした。でも我が子のことは謙遜して話したほうがよいものだと思い込んでいたのです。
そう伝えると、先生は私の顔を見つめて、キリッとした表情でこう言いました。
「おかあさん!○○ちゃんには無限の可能性があるんですよ!」
普段は大人しいクールビューティーな先生でしたが、心の奥では子どもたちの無限の可能性を信じてくれている熱い情熱を持っていらっしゃるのだなぁということに驚きと感動を感じたことを今でも覚えています。
我が子の無限の可能性を信じてくれる人が身近にいる、という事実は、若い親である私に大きな安心感を与えてくれました。
私はハッとして「今、何ができて何ができなくてもなんの問題もない。この子はすでに生きる力をもっているのだから」と思い、また、子どもたちのことを勝手に謙遜するのは親のエゴかもしれないと思いました。
私の気持ちの変化が影響したのか定かではありませんが、その後、二女の様子にも変化が見られました。物怖じせず、本来の茶目っ気のある元気な表情になっていったのです。
この経験は私にとってどれほど大きな励みになったことでしょう。子どもたちがのびのびと成長できたのは、この先生の情熱のおかげだと、今でも深く感謝しています。
恩返しではなく恩送り
子育てで苦労したことは、たくさんありました。年子の子どもたちとの買い物や外出はひと苦労で、2歳のお姉ちゃんを歩かせ、1歳の妹を抱っこし、ベビーカーを持って駅の階段を上がる。
やっと・・・と思った矢先に、同じような状況でお姉ちゃんがエスカレーターで転んでしまう。
そんな度重なる危機を助けてくれたのは、その場にいたサラリーマンや今の私くらいの年代の女性・・・。
ひょいっとお姉ちゃんを抱えて助けてくれた男性や、どの車両が空いているかを教えてくれたご婦人。黙ってベビーカーを階段の上まで持って行ってくれた方。そのときはスーパーマンに思えたほどでした。
その場に居合わせただけなのに、親切にしていただけた感謝の気持ちをどのようにお返ししたらよいのだろう?
そう思っていたとき、恩送りという言葉を知りました。
私もいつの日かサポートする側になり、子育て中の人たちの役に立つ活動をしよう。与えていただいたものを私の経験と共に伝えていこう。この気持ちがこの活動を始めたきっかけであり、原動力です。
さらに、子どもたちのご縁で出会った「先生」と名のつく方々に私も育てていただきました。その感謝を込めて、学校や保育園の先生向け研修をお引き受けしています。
しつもんの講座でのルール
- どんな答えもすべて正解
- 答えはでなくても正解
- 他の人も答えもすべて受けとめる
この考え方は、親子・夫婦・家族のコミュニケーションや、良好な人間関係づくりには欠かせないものだと私は思っています。
そして、このサイトのテーマである『わたしとあなたの愛し方』の軸でもあります。
『愛するということ』の学びは深く永遠のテーマかもしれません。これからの人生、私は『愛』をテーマに生きていくことを決めました。
人の役に立つことが喜びである乙女座生まれ。
そのせいか自分を愛することを後回しにしてきたけれど、これからは、自分の愛しかたを少しずつ学び深めていきたいと思っています。
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心理カウンセラー・行政書士
柳田 亮子